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2011/06/25
本格恋愛陸上小説『蘭』特別編 〜君といた夏〜 第2話『よれた日』
執筆者: sakaguchi (00:14)
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<前回までのあらすじ> 誠実さと人当たりの良さしかとりえのない阪口は、予選会のスタートラインにたっていた。そしてそれまでの地獄とも思える過酷な日々を思い返すのであった… 『このクソが!!このクソが!!このクソが!!このクソが!!このクソが!!このクソが!!このクソが!!このクソが!!カスが!!カスが!!!カスが!!カスが!!!カスが!!カスが!!!カスが!!カスが!!!カスが!!カスが!!!カスが!!カスが!!!カスが!!カスが!!!カスが!!カスが!!!クズが!!!クズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!ふざけんじゃねーよ!!この貧乏人が!!!!!』 その日飯塚が発する暴言に山の上グランド中が静まりかえった。その暴言は僕に向けられていた。 『てめーこんな試合前の大事な時期によれてんじゃねーよ!!貧乏人だからよれるんだよ!てめーは帰ってシーチキンをオカズにして飯でも喰ってろ!!』 そう、その日僕は練習によれてしまったのだ。僕は何も言えずただその場を立ち去る事しかできなかった。自分自身腹がたっていたし、実家でシーチキンがオカズになる事は事実だったからだ。 周りに不穏な空気がただよった。飯塚は誰にともなく話続けた。 『本当にあいつはくずだな。本当にメンタルが弱い。緊張してよれるなんて本当にメンタルが弱い。あいつはもはや阪口じゃなくて、メンタル弱口だな!』 ザワリ…。山の上の木々が揺れた。 『先輩…。ちょっと良いですか?』 澤田だ。 『これ、阪口先輩が忘れていったんですが…』 澤田はその阪口が忘れていったランパンを飯塚に手渡した。 『あいつ、やっぱりカスだな。陸上用品の管理も……ってなんじゃこりゃ!?!?!?』 飯塚は受け取ったはずのランパンを持ちこたえられず、地面に落としてしまった。 『これは…プラチナ??』 阪口のランパンはプラチナでできており、常人では履いて立っている事さえ困難なほど重いものであった。NASAで開発されており、宇宙でも使えるという事である。また、尋常じゃないほど臭かった。 『あいつはこんなものを履いて練習していたのか…。』 暑い夏の始まりのこの時期に、少し寒さを感じさせるような強い風が吹いた。 『怪物か…。これはひょっとするとひょっとするかもな。』 そして飯塚は、今度会ったら阪口に謝ろうと決意したのであった。 To be continued… |
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