東海学生駅伝(2007)
カテゴリ : 寸評
投稿者: 久郷達也 掲載日: 2007-12-9

第69回東海学生駅伝 


四日市大、愛工大、中京大、名大の4大学の優勝争い。今年の名大も充実していた。山本、村西の2名の1年生が14分台で走り、メンバー全員の調子もよかった。スーパーエース中村の最後の駅伝でもある。11月18日の中山道駅伝では中村抜きの名大A、Bで1位、2位を占めるなど、全体のレベルアップもできた。持ちタイムや最近の試合結果から冷静に予想すると(控えめにみても)、優勝確率は愛工大35%、中京大35%、名大25%、四日市5%と考えていた。勝ちたかった。層が厚くなったので、田中を万が一のためにAの補欠に入れた点を差し引いても、今年のB5位を狙うだけの強いチームを編成できた。


 


1区 小泉(M1) 8.515km 2642秒 区間4位  久保(3年)2700秒 区間9


練習では強い小泉だが、14分台はおあずけ状態。小泉の調子が上がらない場合には田中の起用も頭に入れていた。しかし中山道の1区をうまく走れたので、期待して1区に起用。レースは3分10秒を超える、予想通りスローな滑り出しだった。7km過ぎまでそのままのペース。小泉も久保も先頭集団で余裕を持って走っていた。そこからロングスパート合戦になった。スピードのある吉田(愛工大)が先頭で中継。2位に中京大。3位に静大。小泉は4位。先頭と15秒差。このレース展開なら10秒以内できてほしかった。久保も展開は良かったのに、9位という冴えない順位で中継。もっと力はある。


 


2区 中村(M2) 10.606 km 3129秒 区間1位  飯塚(2年)3338秒 区間8


 学会と重なり出場できるかどうかやきもきしていた。國枝部長のご尽力で出場できることになった。絶好調に近い仕上がりだったが、金曜日に東京へ行き、土曜日の午前中発表。夕方6時に新幹線で東京を出て8時に名古屋。そして朝4時に起床しなければならない。前日完全休養の形をとらざるを得ない。ここでどれだけ貯金ができるかが鍵となる。オーバーペースには気をつけるようにいっておいたが、昨年と同じように2分45秒で突っ込んだ。監督車から引き締まった表情の軽快な走りを間近に見ることができた。監督車にぶつかりそうだったほどだった。1kmを過ぎて先頭に立ったが、中京大の勝又に付いてこられた。中間点あたりで監督車から降りて応援できた。中村の表情は険しい。中京大とは10秒程度の差。1分離れて学連選抜の中田。愛工大の清水はブレーキ。四日市の尾崎にもイマイチ切れがない。3区河合への中継で、中京大との差が31秒。四日市と愛工大との差は2分近く広がり、この時点で相手を中京大だけに絞った。しかしそれは私の判断ミスだった。


名大Bの飯塚の走りも見ることができた。駅伝主務でかなりの仕事量をこなしながら、選手としてもうまく仕上げた。エース区間での8位という順位、そして記録的にみてもまずまずの好走を見せた。


 


3区 河合(M2) 8.181km 2632秒 区間3位  古川(4年)2709秒 区間9


冷静に走れる河合の3区起用は、昨年と同様予定通り。今年秋には5000mを15分05秒で走り、スピードにも対応できる力をつけ自信を持ってここに起用した。距離には適性がある。しかし中京大3区篠崎は14分36秒の記録を出したばかり。30秒の差ならこの区間で並ばれるのを覚悟した。スタートして1kmですぐ後10秒差まで一気に詰められた。それでも河合は冷静に走っていた。後半は強い向かい風の中、必死に粘りそれ以上詰められることはなかった。首位で3区の羽生田にタスキ渡し、その差が14秒。誤算は愛工大の中山が区間賞を取る好走をし、この区間で28秒詰められた。再び名大に迫る足がかりを築かれたことだった。


名大Bの古川は区間9位の走りだった。1区の久保と同様もう少し上位になる力があったと思う。向かい風の中粘って走ったが、愛教大や静岡大の選手も力があり、離されてしまった。


4区 羽生田(2年) 8.382km 2803秒 区間4位  平岡(3年) 2829秒 区間7


 向かい風はかなり強い。羽生田の胸を張った走りでは苦しいかもしれない。中京大と並んでくるだろうから、勝負するつもりでいくように直前に電話できた。3区の河合と同様、前半詰められたが最後まで首位を守って藤永に中継。強い向かい風の中よく頑張ったといえる。中京大との差は16秒でほとんど変わっていない。しかしこの区間でも愛工大は名大との差を32秒縮め、1分02秒差にした。四日市大は山下が区間賞を取る走りで、優勝可能な位置まで迫ってきた(名大と55秒差)。


名大Bの平岡の調子は良かった。チラッと見ることができたが、いい走りをしていた。区間順位は7位だが、評価できる走りだった。


 


5区 藤永(4年) 10.390km 3306秒 区間2位  梶田(2年)3512秒 区間14


向かい風の中、第二エース藤永のところが大きなポイント。向かい風には強い走りだ。この区間で2位に1分程度の差を付け勝負を決したい。中京の渡辺には絶対に負けないと思ったが、やはり中京大はよく練習してきている。冷静に走り始めた藤永が渡辺を離すことができない。さらに後方から愛工大のエース野村がぐんぐん迫ってきた。中間点で藤永は汗の量が多くなり、余裕はありそうだが、快走とまではいかなかった。結局大きな差をつけることができず、6区の1年生山本に中継。3位の愛工大は区間賞の走りを見せ、名大との差を17秒にまで縮めた。名大の背中が肉眼で捉えられる位置に来た。6区7区は愛工大が少し名大よりも強い。四日市大と名大との差も23秒しかない。苦しい展開になった。


名大Bの梶田のスタート1kmを見ることができた。いい表情で出て行った。しかし向かい風の中力んだのか、持ちタイムの割には凡走。ビデオをでは腹を押さえて走る姿が映るなど、完全なブレーキとなってしまった。


 


6区 山本(1年) 9.344km 3019秒 区間3位  濱田(2年)3102秒 区間5


小柄でピッチ走法の山本にロードは向いている。期待は大きい。14分50秒の持ちタイムだが、それ以上の力はある。この6区に来ると、心配した向かい風はさほど感じない。冷静に走り出すように指示したとおり1kmを3分06秒。それでも中京大と愛工大田中に追いつかれてしまった。100m離れて四日市大の長谷川。しかし長谷川の走りは重く、優勝争いから脱落した。監督車は後ろから見ることができた。前方で3大学が並んで走っている。実績では劣る山本だけに心配していた。最悪でも何とかこのままアンカー勝負に持ち込みたい


中間点の地点を示すボードを見て山本が仕掛ける度胸を見せた。中京大が苦しそうなので今離そうとスピードアップしたらしい。意外にも愛工大の田中も離れてきた。このまま離せば予想以上の快走だ。しかし残り2kmから山本がペースダウンしてしまった。やはり仕掛けが早すぎた。田中に抜き返され離されていく。それをみた中京大の1年近藤も勇気付けられ、また山本に迫る。結局アンカーへは22秒離された2位で村西へ中継。後の中京大との差は17秒しかない。


濱田の走りは見ることが出来なかった。区間5位で悪くはないが、山本に43秒差となれば評価が難しい。久郷を外してまで起用したのだから。


 


7区 村西(1年) 8.670km 2740秒 区間4位  北村(4年)2830秒 区間5


14分53秒の記録があり、力のある村西だが相手も強い。逆転は難しい。2kmと4kmで見ることができたが、愛工大に徐々に離されている。中京大の山下(1年)も強い選手で、少しずつ詰められている。ただ村西も闘志あふれる表情で、しっかり走っているのは頼もしかった。負けは仕方ないがこれを糧にして名大の柱になるまで育って欲しい。


名大Bの北村は区間5位。最後の駅伝となる走りだったが前との差が大きく順位を上げることはできなかった。区間順位はまずまずだが村西の記録と比較すると評価が難しい。


 


女子


目標は3位だが、エース小山が前日愛知県市町村駅伝の名古屋市代表として選ばれており、私自身順位にこだわってはいなかった。おそらく3位にはなるだろうと楽観していたのだが甘かった。


男子に先んじて5分前にスタート。しかも公園内の1周がないので男子監督車から選手の走る姿をほとんど見ることができなかった。寸評は結果の記録のみ(一部見えた場面もあった、安藤さんのビデオも見ての感想もあるが)で感じた文章である


 


1区 安川(3年) 3.573km 1232秒 区間 8


中距離が専門の安川だが、実力は高い。全日本大学駅伝出場のために長い距離への対応もしなければならない状況にある。風邪を引いてから回復途上だったので、本人はまずまずと自己評価していたが、来年度は小山をしのぐまでの柱に成長して欲しい


 


2区 上野(3年) 4.135km 1542秒 区間 10


この区間も全く見ることができなかった。中京女子大に抜かれてしまった。典型的な長距離ランナーで情熱もあり、練習もできているのだが、ビデオを見る限りやはりまだランナーの体型になりきっていない。この点はまだ私が女子部員に対する監督としての甘さ、経験不足があるのかもしれない。あと少し細くなるだけで(ストレスにならないように)必ず飛躍できる。


 


3区 天野(4年) 5.754km 2125秒 区間 8


 選手からマネージャーへ、そして最後の夏に再び選手へ復帰した。今回がラストランになった。ほぼ実力通りの走りだった。愛教大は抜いていったが、中京大と中京女子大に離されてしまったのは、持ちタイムからみれば仕方ない。3位の中京大とは1分18秒。4位の中京女子大とは41秒差がつき、3位入賞は厳しい。


 


4区 山本(2年) 4.854km 1749秒 区間6


 持ちタイムからみればここで少し差を縮めておきたい。しかし相手がそれ以上の走りをした。山本自体も快走という記録ではない。後半の細かなアップダウンがあったとはいえ、追い風を考えればもう20秒は稼げる力はある。中京とは9秒縮めたが、中京女子大との差は逆に開いてしまった。


 


5区 小山(5年) 8.181km 2948秒 区間6 


 後半かなりの向かい風の中小山が前を行く中京大と中京女子大を追って走り始めた。差は1分以上で見ることはできない。前日、市町村駅伝を走っており、その影響もある。必死に前を追った。後半落ちてきた中京大は抜くことができた。もう一校の中京女子大には16秒差まで迫ったのだが抜くまでには至らなかった。授業、実習が忙しい中で練習をやりくりしてきた状況も合わせて考えれば、仕方ない。


 


 


椙山女学園大学 学連混成


 


どんな展開になっても椙山は2位が確定している。しかしオープンで出場する、名城のBとCには必ず勝たなければならない。女子のレースはやはり私の目からほとんど見ることができなかった。


 


1区 山元(4年) 3.573km 1144秒 区間 2位 野田(2年) 1235秒 区間11


   北村(3年) 1211秒 区間 6


小山同様前日の市町村駅伝に出ており、今回は最短区間の1区に起用。もちろん区間賞をとらなければならない。しかしラストで名城大Bに負けてしまい区間2位。結果的に川井に勝ったので区間賞を手にしたが、2日続けては走れない。野田の評価は難しい。安川の記録と比較しても快走したとはいえない。椙山の3本柱が抜けてしまう状況を考えれば、さらなる奮起が必要となる。北村は選抜の選手をかけてのレースだった。まずまずだが、成瀬についてこられ最後に離されてしまう悔しいレース展開だった。


 


2区 光田(1年) 4.135km 1441秒 区間 4位 曽根原(1年)1505秒 区間6


光田は今の状況なりに走ったという評価だろうが、あっさり名城大勢3人に離されてしまった。本気で陸上にかけるのかどうか、この冬に期待したい。曽根原は4人抜きでまずまずの好走といえる。


ただ愛教大の子の記録と比較すればどうなのだろう。いずれにしてもまだまだ強くなる可能性が高い。


 


3区 前田(4年) 5.754km 1930秒 区間 4位 後藤(2年) 2300秒 区間10


   山中(4年) 2145秒 区間8


 前田の記録も評価しづらい。そこそこの走りをしたといえるが、佐藤は別格として、他の名城大2名に負けたのは悔しい。後藤の今の状況ではこの程度だろう。来年椙山の正選手になれるかどうかはやはりこの冬にかかっている。中距離が専門の山中にはこの距離は少し長かったのかもしれない。区間8位ではなあ。


 


4区 金田(3年) 4.854km 1739秒 区間5位 牧野(1年) 1953秒 区間9


 前も後も目標のない位置での金田の走り。抜いていくのは男子ランナーだけ。結果的に名城BとCに大きく離されてしまった。来年度のキャプテンシーを発揮してもらいたい。牧野はBの選手争いを市川と争って勝ち取った。今の状況どおりの結果だった。


 


5区 垣津(4年) 8.181km 2724秒 区間1位 大野(1年)3305秒 区間12


   西村(4年) 3340秒 区間13


 垣津快走。見事に区間賞。さすがに向かい風には強い。西川、水口を50秒も引き離す驚異的な走りだった。ラスト1kmで併走していた男子ランナーと見劣りしなかった。へぼいランナーだなあと考えていたが、学連混成の四日市から中女に行った清水だった。引っ張ってもらい名城大のB、Cを最後に抜き去り2位に入ることができた。大野もさすがに8kmは荷が重かった。順当な記録、区間順位だった。昨年膝の手術をして復帰した西村は、まだ全盛期には程遠い走りしかできない。エース区間でのこの順位は悔しいだろうがいたしかたないだろう。