今年から選考会の形式が三好池での駅伝から、トラック5000mの合計タイムで競われる形式に変更された。従来は6名の選手が3名ずつの2チームに分かれ、それぞれが三好池(1周4.3km)を1周−1周−2周する形式であった。この場合2周を走るエースの力が大きく影響するが、今回からはチーム全員が同じ距離を走る。これまで以上に総合力が問われることになるだろう。今回は、名古屋大学・椙山女学園大学・中京大学・岐阜大学・中京女子大学の5大学が出場し、上位2校が本戦に進出する。
・総合
優勝候補筆頭は中京大学。エース木富は東海インカレで5000m準優勝10000m優勝という圧倒的な強さがある。木富、永田、加藤の主力クラスに加え、今年は愛知県選1500mで4分35秒の好記録を出したルーキー花岡もいる。現時点で最も全日本に近いのは中京大で間違いないだろう。
それに続くのが椙山女学園大学、岐阜大学の2校。椙女大は4分42秒という素晴らしい1500mの平均タイムを持ち、不動のエース山元を中心に昨年よりさらに戦力が充実している。全員が実力どおりに走りきれば全日本の可能性は高い。岐阜大は東海インカレ5000mに優勝した若山の実力が抜けている。しかしそれに続く選手も粒がそろっており、あなどれない存在である。前回は三浦のアクシデントにより途中棄権となってしまった。最後のチャンスにかける思いは強いだろう。ちなみに今年は新入生に若山の妹、ゆう子がいる。椙女大は山元、垣津、前田の主力3枚の力では岐大を上回っているため、対校戦のように金田、牛丸、野田の3名がそれぞれ岐阜大の選手に勝ち越すことができれば勝利である。
そして、淡々と上位校の隙を狙うダークホース名大。エース小山は今年3000mで名大記録となる9分55秒を出し現在も好調を維持している。5000mでも16分台での名大記録更新は十分射程圏内である。脇を固めるのが七大戦で激走を見せたスピードランナーの安川と金尾。夏合宿で怪我をしてしまった徳永の調子に不安が残るが、上野と山本の2人が18分台で走りきることができれば、上位校にブレーキがあった場合に下馬評を覆して大逆転の可能性がある。他校の選手をマークしたり牽制しあったりする必要はなく、とにかく自分のペースを貫く冷静さ、または大胆さが求められる。残る中京女子大は800mに強い選手が数名いるが、長距離系にはあまり強さが見られない。練習量の裏づけで名大、椙女大が負けることはまずないだろう。
・個人
今大会では6名全員一斉スタートではなく、各大学3名ずつの2組に分かれて走る。個人トップは持ちタイムの良い選手が揃うことになる2組目から出るだろう。候補は前段落でも挙げられている中京大学、椙山女学園大学、岐阜大学それぞれのエースである木富淑絵(4年、東海IC 5000m2位 10000m1位)、山元美駒(3年、東海IC 800m1位 1500m1位)、若山あや子(4年、東海IC 1500m2位 5000m1位)の3人。3人共に高いスピードと安定感を持っており、熾烈な争いとなることは間違いないだろう。
この3人に続くのは前田さやか(椙女3年)、垣津奈美(椙女3年)、永田こころ(中京4年)、加藤舞(中京4年)、小山倫代(名大4年)の5人か。おそらくこの5人はその時の総合順位の展開によって走り方が変わる。前3人に積極的についていくか、5人内でグループを形成するか、一人でペースを刻んで安全運転するか。後ろを気にしながらの展開になるかもしれないが、積極的なレースを期待したい。特に前田は今季、全日本IC 10000mに出場し、現在も好調を維持している。皆が驚くようなタイムを出す可能性がある。
上記に挙げた8人は全員が今年2月に行われた全日本女子大学選抜駅伝の東海学連選抜のメンバーであり、顔なじみである。今後の東海地区長距離の活性化のためにもニューヒロインの誕生を期待したい。
前述したように今回のポイントは6名が同じ距離を走り、その合計タイムで争われることである。エース争いでは差がつかない可能性が高く、2組目よりも1組目の3人の走りの方が総合順位への重要度は高い。誰かをマークするのか、設定タイムを意識して一人でペースを刻むのか、積極的に組トップを狙いに行くのか・・・。難しい戦いになるだろう。
一人のブレーキがチーム全体に大きな影響をもたらすのはもちろん、昨年の全日本大学駅伝関東地区予選会の東海大学のように一人のアクシデントでチーム全体が棄権扱いとなってしまう怖さもある。ひとつのミスも許されないところが駅伝の難しさであり、また醍醐味でもある。
名古屋大学 | 1500m | 5000m | その他の種目 | |
小山 倫代 | 4'38"78 | 17'49"55 | 9'55"24(3000m) | |
上野 舞理子 | 5'13"77 | 19'13"26 | 11'21"45(3000m) | |
金尾 明日美 | 5'06"35 | 19'48"75 | 11'17"97(3000m) | |
徳永 絢子 | ||||
安川 裕子 | 4'56"36 | 2'18"97(800m) | ||
山本 しおり | ||||
上位6名平均タイム | ||||
椙山女学園大学 | 1500m | 5000m | ||
牛丸 明日香 | 5'07"51 | 19'33"29 | ||
垣津 奈美 | 4'36"08 | 16'53"29 | 9'39"07(3000m) | |
前田 さやか | 4'38"70 | 17'06"15 | 35'06"77(10000m) | |
山元 美駒 | 4'26"45 | 16'34"37 | 9'37"44(3000m) | |
金田 恵子 | 4'47"15 | 18'53"51 | 2'30"74(800m) | |
野田 ひろみ | 5'00"48 | 19'31"26 | ||
市川 美咲 | ||||
上位6名平均タイム | 4分46秒 | 18分05秒 | ||
中京大学 | 1500m | 5000m | ||
木富 淑絵 | 4'39"81 | 16'29"30 | 33'59"00(10000m) | |
永田 こころ | 4'32"94 | 16'22"08 | ||
加藤 舞 | 4'46"75 | 17'11"74 | ||
花岡 美紗 | 4'35"56 | 17'01"11 | ||
大江 由香里 | 4'49"68 | 2'15"28(800m) | ||
杉浦 真由子 | 4'50"24 | 18'07"49 | ||
澤口 有香里 | 4'44"39 | |||
道家 三穂 | 17'37"49 | |||
上位6名平均タイム | 4分40秒 | |||
岐阜大学 | 1500m | 5000m | ||
若山 あや子 | 4'28"21 | 16'38"19 | 2'19"42(800m) | |
三浦 仁稔 | 4'45"46 | 18'20"69 | 2'18"67(800m) | |
橋戸 絵理 | 4'49"86 | 17'52"70 | ||
西田 雅美 | 4'54"70 | 17'36"32 | ||
若山 ゆう子 | 19'14"88 | |||
川尻 紗緒里 | 19'52"08 | |||
上位6名平均タイム |
追記
31日の代表者会議で予選会の組み分けが明らかになった。中京大は1組に永田・道家・杉浦、2組に木富・加藤・花岡。ルーキー花岡が永田を押しのけ速い組に入った。永田の調子がよくないのか、また道家らのペースメーカーをつとめるのかはさだかではないが、実力からして1組のレースは永田が中心となることが予想される。岐大は1組が橋戸・川尻・若山妹、2組が若山姉・三浦・西田のオーダー。1組の橋戸は17分台の持ちタイムがあるが今季は18分39秒でしか走っていない。椙山の金田・牛丸・野田の3人はこの橋戸に勝てば全日本はほぼ確定的となる。名大は1組が金尾・徳永・山本、2組が小山・安川・上野。1組の3人は今季5000mを走っておらず、どこまでの記録が出せるか未知数なところがあるが、岐阜大の川尻・若山妹とと同程度の力だろう。ここで負けを少なくおさえれば名大は岐阜大に勝って3位の可能性もある。将来性から速いほうの組に抜擢された名大の上野。中京大、椙女大の3人、小山、若山の上位層とはまだ力の差が大きいが、今季不調の西田・三浦、中京女大勢とは対等以上にわたりあえる。上野と安川は2組のなかで9位、10位が目標となる。
このカテゴリの記事 | ヒット |
全日本大学女子駅伝予選会(2006年度) | 4924 |
全日本大学駅伝予選会(2006年度) | 4931 |
全日本大学駅伝予選会(2010年度) | 3564 |
全日本大学女子駅伝予選会(2010年度) | 3690 |
全日本大学駅伝(2010年度) | 4221 |
全日本大学女子駅伝(2010年度) | 3311 |